RACDA高岡

2023/03/18(土) 城端線のこれからを考える参加型勉強会

2023/03/18(土)、戸出コミュニティセンターにて「城端線のこれからを考える参加型勉強会」が開催され、地元高岡市などから25名の参加がありました。
今回は私たちとしては初めての試みとして『出前県庁しごと談義』の制度を活用し、富山県交通政策局から2名の講師にお越しいただきご講演をいただきました。(ありがとうございました)


 交通戦略企画課課長

まずは、交通戦略企画課課長より「富山県の地域交通戦略について」お話をいただきました。

・『SUMP』(Sustainable Urban Mobility Plans/持続可能なモビリィティ計画)
・富山県地域交通戦略会議について
・県内すべての市町村に鉄道駅があるのは富山県の特色
・「鉄道が街の魅力形成に与える影響は大きい」
 (自治体、大規模店舗、病院、学校よりも大きい)

といったお話を伺いました。


 広域交通・新幹線政策課課長

続いて広域交通・新幹線政策課課長より城端線・氷見線LRT化検討会の調査検討内容などについてお話をいただきました。

・BRTは同等の運送力を確保するために大幅にバスを増やす必要があり、運転手の確保が課題
・「LRT」には様々な定義があるが県では低床車両という意味で捉えている。
・コストよりも運行をどうするか(混雑の改善や冬季の対応)が論点となった。
・城端線-氷見線の将来像は「鉄道で」「運行頻度の確保」「利便性の向上」が沿線4市の共通認識

その他、城端線に対する利用者の声などもご紹介いただきました。

質疑応答では、
Q. あいの風の石動駅での折り返しの話はどうなっているのか?
A. 列車の都合ですぐには難しい。
一部区間(例えば富山⇔高岡)での先行パターンダイヤ化の検討も

Q. 1日8本増便している。負担割合は?
A. 県が1/3。残りが沿線4市

Q. 公共交通のウェルビーイングとは?
A.
 1.誰もが利用でき、使いやすく便利で安全快適に移動できる。
 2.これまで以上に社会と関わりをもち、生き生きと暮らせるようになる。
 3.日々の生活の中でお得感、満足感、新しい発見を得られる。

Q. 「公共交通利用回数の年間50回/県民」(新型コロナ禍前との比較で約6回増/県民)という目標はどのように達成するのか?
A. 具体的施策の検討はこれから

などの問答がありました。

お隣の石川県でも七尾線減便(2022年)がなされ、全国的にも減便→利用者減(→減便)の負のスパイラルが起きている。その一方で、県民の生活レベル維持向上のために「公共交通に関しては富山県はがんばっている」というお話が印象的でした。


 富山大学都市デザイン学部都市・交通デザイン学科本田教授

その後、富山大学 都市デザイン学部 都市・交通デザイン学科 本田教授よりの講義に移り「地域が支える城端線のこれからを考える」をテーマにご講演いただきました。

・朝夕の通学・通勤客は毎日、超満員の城端線の列車を利用している。
・免許返納したい高齢者が増えているが、公共交通が乏しいためにやむなくクルマを運転している人が多い。
・全国的にJR路線では減便が続いている。沿線人口も減少傾向にある。今が地域再生させる最後のチャンス

といった内容が印象的でした。


引き続き、4グループに分かれてワークショップへ
「どんな城端線になったら良いか」「そのためにはどうすればよいか」をテーマに意見を出し合い、互いの理解を深め合いました。


Aグループ:
「城端線の無料開放の日を作り、まずは乗ってもらうのはどうか」
「沿線の農産物などを駅で売ったりしてはどうか」


Bグループ:
「鉄道のほうが良いんだ、ということになれば自然と利用者は増える」
 (無理してでも乗ろう、というのはNG)
「ICカードの導入は必須。施設の脇に線路があるのに駅がない場所がある」
「瑞龍寺駅、高岡市民病院駅、砺波市役所駅などはどうか」


Cグループ:
「便利になって利用者が増える、という正のスパイラルをつくることは大切」
「高校生などもっと利用者の意見も取り込んでいきたい」
「駅の待合室にテーブルを置くと高校生が勉強しやすくなる。コスパの良い投資では」


Dグループ:
「列車なのに整理券を取る?城端線は乗り方が難しい。」
(もっとわかりやすく、乗りやすく)

といった発表がありました。
講師からは総評(あくまで個人的感想)として、

① ICカード導入などには費用がかかる。が、お金には限りがある。優先順位をつけることは大切
② 農産物の販売などお金がかからない話はどんどんやるべき
③ 事業者は営利事業としてやっている。「あれもこれもやってくれ」というのは事業者は嫌がるもの。相手にも「心」があることを理解し、相手の心に響くように話をすることは大切

といったアドバイスを頂きました。また、

「運行本数が少なくても城端線を使いやすいよう、今回のようなイベントは列車の時刻に合わせて開始することも大切ではないか」

というご指摘もいただきました。

これまで当グループでも列車の時刻に合わせたイベント開始にしたこともありますが、
「開始時間がわかりにくい」といった意見があったり、
また実際に参加者が少なかったり、
下り列車の時刻に合わせても、上り列車の時刻には合わなかったり・・・
試行錯誤を繰り返してきた経緯があります。

最近は
「参加者の方々への開始時刻のわかりやすさ」
を優先し、列車時刻とズレが大きいときは、
「訪れたまちの店舗を利用したり、街並みや景色を楽しんでいただこう」
といった方針で臨んでおります。

以上で「城端線のこれからを考える参加型勉強会」の報告は終わりますが、ご興味あるかたは是非次回の勉強会にご参加ください。(決まり次第、当ウェブサイトで告知して参ります。)