2025/05/25(日) 交通まちづくり意見交換会
「地鉄存廃問題勃発!」城端線・氷見線再構築から考える
2025/05/25(日)、ウイングウイング高岡6階会議室にてRACDA高岡総会開催記念「交通まちづくり意見交換会」を開催致しました。富山大学都市デザイン学部 中川大 特別研究教授ならびに、金山洋一 特別研究教授をゲストに迎え、参加者と一緒に富山県内の鉄道・軌道と地域交通のこれからについて意見を述べ合い、減便や一部路線の廃止も検討されてる県東部・富山地鉄沿線の問題などについても互いの理解を深め合いました。
富山県東部や全国からもご参加をいただき計38名での意見交換会となりました。
(以下は意見交換の要約です。発言内容そのままではありません。)
会場の様子
参加者:
・富山地鉄は以前より学生の利用は減ったが、現在も多くの人に利用されている。
・良い鉄道だが採算が厳しい。
ゲスト:
・「採算」とは民間企業の考え方。公共交通とは関係がない。
(「採算が厳しい」という考え方はおかしい)
・欧州の『パブリックトランスポート』と日本の『公共交通』は逆の意味になってしまっている。
・「公共交通」とは本来採算とは無関係。人々の生活のための交通であり行政に責任がある。
・民間事業者は無い袖は振れない。
・「行政が公共交通を支援」という言い方をよく聞くが、これもおかしい。
行政に責任があるのに『支援』という言葉を使うのは、自分事として捉えていない証拠である。
・新聞記事もおかしい。1日に4本しかない路線で80人も乗っていることは凄いこと
・鉄道が便利になることで、まちができる。この考え方は日本が先行していた(阪急など)。
が、今では欧州が「TOD」として先行している。
※TOD;Transit Oriented Development(公共交通指向型都市開発)。欧州では広く普及している都市開発の考え方。鉄道の駅のまわりには人口が増える。バスだとその効果は1/6程度(バス停はなくなるかもしれないので信頼性が低い)
・「利用者が先か、運行本数が先か」という議論があるが、
「運行本数が先」に決まっている(走っていない列車には乗れない)。
・2割増便すれば、およそ2割の利用者が増えることはわかっている。
・これまでの日本はおかしかった。事業者に任せっきりにしていた。
・「赤字だから助けてほしい」という理由では助けられない。
・地域交通は公共サービス。行政は「投資」を行い、住民は「参画」「利用」「利用促進」を行う。
<城端線・氷見線について>
参加者:
・通勤通学時間帯には今は満員で大変
・朝は20分間隔の4両編成で走ってほしい。
・単線なのだが、うまく運行本数が増やせるものなのか。
・今は伏木曳山祭の時は利用者があふれて乗り切れない。
・あいの風鉄道移管後は臨時列車に期待している。
ゲスト:
・単線でも運行本数を増やすために試算したことはある。
<再び、富山地鉄線について>
参加者:
・越中荏原駅利用者だが、日中の運行本数を減らされて不便になった。
・越中荏原駅⇔宇奈月駅間、往復4000円かかる。日中の時間帯は乗っている人は少ないのでもっと安い企画切符があっても良いのではないか。
・行政がやったら良いのはわかるが、予算はどうすれば良いのか。
・沿線での盛り上げ方や仕組みづくりはどうすれば良いのか。
ゲスト:
・日本では「廃線」というキーワードが出ると大変だということで様々な検討が行われる。
(存廃問題は日本ではチャンス)
・欧米では、どうすれば住民サービスとして最適かが常に考えられている。
・民間に任せられるサービスか? → 民間でできることは民間が担う。できないことは行政が責任を持つ。
・P&Rはどんどんやるべき
・公共交通の予算は「鉄道・バス」の予算ではない。
→ 地域づくり・まちづくりのための予算
・東京は、先進国の中でも人口集積が進み過ぎている特異な例
・日本から東京・大阪・名古屋圏をなくせば、世界標準の人口集積度合となる。
・日本の交通問題は都市圏を無視して考えるべき
・日本はずっと世界の常識から外れたことをしてきた。
・それが富山県から変わるかもしれない、という兆しはある。
<感想>
「日本のまちづくりを富山県から変えられる」という言葉はとても夢のある言葉だと感じました。
講師からの「運行本数が増えれば利用者も増える」というお話と、3月に高岡市雨晴地区住民から聞いた「氷見線の本数がどれだけ増えても目的地がないので利用しない」という意見は矛盾するようにも思いました。
「公共交通=まちづくりの道具」
公共交通を便利にしつつ、それと符合するまちづくり(交通まちづくり)を進められるよう各所へ働きかけていきたいと感じました。
小神さんお別れ会
その後、高岡駅南・ビッグチャイナさんへ場所を移動し、2025/5/6に事故により急逝した当NPO法人理事長・小神さんのお別れ会を開催し、思い出を語り合い、これからも活動を続けていくことを誓いました。